令和2年5月12日東京より

こんにちは、似鳥航一です。


皆様いかがお過ごしですか。厚生労働省からマスクは届きましたか?

都外の知人に安否を気遣われたので、不要不急の記事更新です。似鳥は無事にやってますので、ご安心ください。


勿論、東京も大丈夫です。自粛といっても食べ物などの生活必需品を買う店は総じて通常営業で、トイレットペーパーも箱ティッシュも最近は普通に売っています。24時間営業のスーパーでは人の密集を避けるためか夜間の客が増えたようです。店のレジ前の床には間隔をとって並ぶための目印が貼ってあります。入店前に手の消毒コーナーが設けられている店舗もあります。商品によっては購入個数を制限されていたりもします。無塩バターやマスカルポーネは品薄です。生野菜の表面は丁寧に洗わないと、なんて今更考えても仕方ありません。最近よく食べるのはアボカドとサーモン。手間入らずでこんなに美味しいものが他にあるだろうか(ある)。ともかく、リスクを負いつつも毎日ビニールカーテンを隔てて会計してくれる店員さんには敬意を抱きます。



しかし、何気ない日常の大切さ(自作でも扱ったことがあるテーマ)を、これ以上なく痛切に、現実の世界で全人類が噛み締める日が来るとは。自分としてはある意味、戦中ってこんな気分かなと思うこともしばしば。従来の意味での戦争ではなく、まったく新しいタイプの、見えない静かなSlow warの進行過程とでも言いますか。決して某国の人工ウイルスによるプロバビリティの攻撃みたいなことを言いたいわけではなく、かといって人類VSウイルスみたいな構図を提示したいわけでもなく、現実的にはたぶん価値観と価値観の熾烈なせめぎ合いという表現が妥当なのでしょう。この先も続く、新型コロナウイルス蔓延後の世界を粛々と生き続ける僕ら一般人の状況認識としては。身近な例を一つ挙げると、ひとりひとりが感染防止的な――あるいは経済的な生存戦略のどちらを採択するか、状況を考慮して判断していかないといけません。今はどちらが自分にとって、もしくは社会にとってベターなのか。そんなことを考えなくても生きられた平成が今では遠い昔に感じます。



しかし一般人の僕たちでも精神的に結構きついのに、医療現場の方々はどれほど自らの心身に過酷な日々を過ごしていることだろうか。防護服は足りているのか、医療用の高性能マスクは足りているのか。この静かで微小で透明な危機が蔓延する状況下、文字どおり命を賭けて、最前線で病人の治療に奮闘してくれている方々には本当に頭が上がらないと感じる。決して望んでその立場になったわけではないだろうに。また、感染したら命に関わるであろう多くの高齢者の方々にも買い物代行などのサポートが必要なんじゃないだろうか。わずかな遅れが進路に響きかねない現役の学生の方々には、各家庭の環境の差を無効化できるような教育支援が必須では? ともかく今の僕らにできるのは、そういった方々への想像力を持ち続けること。騒ぎ立てず、しかし専門の領域で声もあげずに力を尽くしている人々が存在する。ここからは目につかなくても、日夜確実に行われている彼らの営みを忘れることなく、後に確実に大きく歴史に刻まれる、この非日常的な日常を過ごしていきたいと思っています。


皆さんもくれぐれもご自愛のほどを。


新刊の重版


さて、話は変わりまして。


おかげさまで、3月に刊行された新刊『いらっしゃいませ 下町和菓子栗丸堂 和菓子をもって尊しとなす』には発売後すぐに重版がかかったそうです。

令和2年の3月4月は、外出が容易な時期とはとても言えませんでした。それでも読みたいと思って購入してくださった方や、店を開けてくれた店員の方々には、感謝という言葉では言い尽くせないものを感じます。本当にありがとうございました。

以下は新刊の関連記事など。


●ツイッター

https://twitter.com/mwbunko/status/1247814366839230464


●Yahoo! JAPAN

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200408-00617448-bookbang-ent


●ダ・ヴィンチニュース

https://ddnavi.com/review/612013/a/


SNSのツイートや読書メーター、ブログの感想などは基本的にほぼ全て読ませて頂いています。

僕は風に吹かれる柳のような性格なので、安心して好きなことを好きなように呟き、楽しんでもらえれば幸い。


2巻は年内に出せるように、ただいま絶賛準備中です(自分で自分の準備を猿のように絶賛している)。

1巻に仕込んでいたネタの乱数の種から具体的な展開をさせていくのが楽しい…。皆様お楽しみに!

にとりの愉快な小部屋  -似鳥航一ブログ-

小説家・似鳥航一の公式ウェブサイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000