新・栗丸堂

こんにちは、似鳥航一です。


気がつけば今年初めてのエントリでした。今年も皆様、何卒よろしくお願い申し上げます。

1月は色々とばたついていて、ここで愚痴をこぼすのも何だかなぁと個人的に更新の気乗りがしなかったんですよね。

ただ、さすがにもう2月なので頭を切り替えていきたいところ。人間がコンピュータより優れている点は忘れっぽいという点に尽きると思っている――って、コンピュータも物理的衝撃や外部記憶装置の劣化で普通にデータ消えますが。


また、今年の年賀状やファンレターをくれた方々、ありがとうございました。

返事は全て書き終えたので、そろそろ皆のお手元に届くのではないかと。いつも支えて頂いて感謝です。


新刊のお知らせ


2020年03月25日に栗丸堂の新シリーズが刊行されます。

タイトルは、『いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂  「和」菓子をもって貴しとなす』。

イラストは前シリーズに引き続き、わみずさんです。

もともと2020年に新シリーズとして再開する予定だったので、計画通りに年内に出せて胸を撫で下ろしているところ。このシリーズは早く続きを読みたいと言ってくださる方が本当に多く、ありがたいですね。


今回は古き和菓子の世界の源流に遡り、知見を深められるような内容にしたつもり。

古代の日本人は甘味品としてこのような物も食したのでは? という仮説の提示と、それに絡んでくる不思議な新キャラクターの登場。ほか、謎の新たな和菓子店とそこに絡んでくる奇妙な人間関係などなど、様々な要素が行く手に待ち受けていて――。

栗田と葵の新たな冒険を、どうぞお楽しみに。



●いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂 「和」菓子をもって貴しとなす(メディアワークス文庫)

https://mwbunko.com/product/321912000286.html


●カドカワストア

https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g321912000286/


●いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂 「和」菓子をもって貴しとなす 1(版元ドットコム)

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784049131420


「一日を変え、一生を変える和菓子を!」 (VA-11_HALL-Aインスパイア)


以下は雑談ということで。

一番上のグラフィックの正体は――。

なんと、先日知人に連れられていった柴又帝釈天の池に棲む亀だった。

本堂から大客殿に進み、邃溪園(すいけいえん)という庭園に面する回廊を渡った先で撮ったものです。帝釈堂の方には法華経の説話にまつわる大規模な木彫りが幾つも展示されていたりして、興味深いですよ。

個人的に亀を見ると思い出す言葉は、「盲亀の浮木」。

このブログの更新頻度を表す言葉です(嘘です)。


もうき-ふぼく【盲亀浮木】

会うことが非常に難しいこと、めったにないことのたとえ。また、人として生まれることの困難さ、そしてその人が仏、または仏の教えに会うことの難しさのたとえ。▽大海中に棲み、百年に一度だけ水面に浮かび上がる目の見えない亀が、漂っている浮木のたった一つの穴に入ろうとするが、容易に入ることができないという寓話による。「盲亀浮木に値う」の略。
(三省堂 新明解四字熟語辞典より)


100年に一度水面に浮かぶ目の見えない亀が、漂う浮木に巡り合うことの偶然――。

その設定に忠実に考えると尋常ではない低確率になるので、ここは逆に、あえて木の方を水中に沈めてみたいところ。そうすれば亀が水底を散歩するだけで偶然出くわすこともあるでしょうからね。

とくに特殊な細工をすることなく、水に沈む木材は存在する。木も植物であり、植物はセルロース(ブドウ糖が結合した多糖類)の丈夫な細胞壁を持っているわけで、骨がなくても自立できるのはそのため。細胞壁の隙間に潤沢な空気が入っていれば水に浮くし、そうでなければ沈下する。密度がびっしり高い木は水より重くなるのですね。


さて、世界で最も重い木材といえば、リグナムバイタ。

……と思って改めて調べてみたら、じつはそうとも限らなかったらしい。諸説あるようです。

考えてみれば木にも個体差があるでしょうし、その個体においても部分ごとに細胞壁とその内部のコンディションが違うのは当然のこと。こんなサイトを見つけたので、せっかくですし貼っておきます。


●木材博物館・木材の比重リスト

https://www.wood-museum.net/specific_gravity.php


ちなみに世界一軽い木材はバルサ。模型飛行機などの骨組などにうってつけの素材。


最後にもう一つ。

先日亡くなったライル・メイズ氏に追悼の意を込めて、動画をいくつか……。ご冥福をお祈りします。

(大学時代の恩師がPMG好きで、影響されて自分も聴くようになった。情感豊かな音色とハーモニーが印象的なキーボーディストです)

透明感溢れる『Highland Aire』や、四部からなる壮大な『Street Dreams』などの曲がソロではたぶん有名でしょう。

音楽は往々にして、それを頻繁に聴いていた日々の記憶と密接に結びついていて、メロディーに身を委ねると当時の自分を取り巻く様々な事象を鮮やかに思い出します。

ビル・フリゼール氏がギターで参加している曲。


Street Dreamsのパート2。長くて面白い幻想的な曲です。



話は逸れますが、僕は小学生の頃、給食が本当に好きで好きで。

別に家で美味しいものを食べさせてもらえなかったわけではなく、純粋に給食そのものが好きだった。今思うと不思議なのですが、献立表を毎日眺めて、暗記するほど確認したものです。明日の給食がカレーだと思うと心が躍って狂喜乱舞した。家でもカレーはよく食べていたというのに……謎です。

今でも給食の時間が始まる時に流れていた曲を思い出すと、あの時の幸福感をそっくりそのまま胸の中に再現できる。それはライル・メイズさんの曲ではなかったんですけどね。


にとりの愉快な小部屋  -似鳥航一ブログ-

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