あの日の君に恋をした、そして、その日まで君を愛する
こんにちは、似鳥航一です。
気づくともう三月半ば。暦の上でも紛れもない春になり、すっかり暖かくなりました。
おかげで似鳥の花粉症もたけなわで、毎日盛んに涙とくしゃみが……。うららかな春の猛威が過ぎ去るのを嵐の中の鳥のように待っている今日この頃です。
さておき、メディアワークス文庫編集部様から新刊の見本誌を頂きました。
すごくいいでしょう?
梱包を解いて見た瞬間、つい感嘆の声が漏れました。
イラストもデザインも、何か大きな出来事の余韻が辺りに漂っているような、そんな想像力を刺激する叙情的美しさ。表紙が見える状態で絵画のように飾っておきたくなります。
表紙の絵を描いてくださったのはイラストレーターのhikoさん。
自然で、それでいて懐の深い光と影の表現が素晴らしく、目と心に潤いを与えてくれます。
●hikoさんのtwitterアカウント
●hikoさんのpixivアカウント
https://www.pixiv.net/member.php?id=80314
もちろん表紙のデータそのものは担当編集さんから結構前に見せてもらっていたのですけれどね。
それが三次元の物体になると感動もひとしおと言いますか、こういうのは書き手一人では作れないものだということを改めて実感します。
編集部の方、イラストレーターのhikoさん、校正者さん、デザイナーさん、印刷所の方、営業部の皆様、書店の方々――ありがとうございました。いつも力になってくれる皆様に心からの感謝を。
そして今このエントリを読んでくださっている貴方も、機会がありましたらぜひ書店で一度実物をご覧になってみてください。その姿を想像して似鳥が欣喜雀躍します(鳥だけに)。
・「あの日の君に恋をした、そして」……略称「あの恋」。
・「そして、その日まで君を愛する」……略称「その愛」。
どちらも2019年03月23日(土)発売です。
さて、ここからはちょっとした雑談でも。
「あの恋」も「その愛」も表紙に橋が描かれていて、その下を川が流れています。
ここは作中でも象徴的な場所。橋は二つの物語の間の橋渡しの意味で、川は人生という大きな流れのメタファー……なんて解説をするつもりはまったくなく。
シンプルに、どこかで見た覚えありませんか、この光景。
現地に住んでいらっしゃる方は「あ、言われてみれば」と思うかもしれませんが、これはどちらも埼玉県で、流れているのは荒川です。
じつは埼玉には弟が住んでいるので、個人的に愛着がありまして。
自然が豊かで過ごしやすく、いいところなのです埼玉県。
彩の国ですし、小江戸こと川越もありますし、秋には川越祭りもありますし、国内唯一のバッグ・クロージャー(食パンの袋をしめる四角い留め具)の生産地でもありますし。
また、フィンランドもあります。
●埼玉県のフィンランド
最近はちょっと機会がないのですが、少し前までは僕もよく向こうに遊びに行き、弟とごはんを食べたりしていました。兄弟というのは普段離れていればいるほど、友好関係を保てるものなのです。
気楽に食べて、飲んで(ドリンクバー)、時には渋い大人の男の食べ物(パフェ)を頂いたりしながら、肩の凝らない些細な話を終電間際までのんびりと続ける――そういうのがじつは最高に心地よく贅沢な時間なのですね。
また味わう機会はあるのだろうか? 今はお互い忙しくなってしまったから、案外もう二度とないのかもしれませんが。
というような、普段は省みられることのない何気ない喪失の集積が、過去あるいは人生と呼ばれるものなんじゃないか――そんな風に実感を持って思えた時、人は本当の意味で日常に感謝の気持ちを抱けるのかもしれませんね。
あ、埼玉県にまだ一度も行ったことがない方は以下の動画をご覧ください。
何かの参考になるかも……ならないかも。
そのようなわけで、埼玉県にお住まいで小説がお好きな方は書店に行った際、ぜひ「あの恋」or「その愛」をぱらぱらとめくってみてください。馴染みの風景の見え方が少しだけ変わってくるかもしれません。
もちろん東京在住の方も、それ以外の土地にお住まいの方も現地に足を運び、「似鳥がここであんなことやこんなことを……?」と想像してくださると嬉しく存じます。
ただ、うちの弟は小説内には登場していませんので、どうぞあしからず。
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