電気羊の夢

 こんにちは!3月を迎え、新しい季節がやってきましたね。春の訪れを感じるこの季節は、新しいことにチャレンジしたくなる時期でもあります。

 3月は卒業式や入学式が行われる月でもあり、新しいスタートを切る方も多いですね。そんな方には、心機一転、新たな目標や夢に向かって頑張っていただきたいと思います。


 ◆ ◆ ◆


 …という上記のテキストは、最近流行りの某人工知能チャットボットに頼んで書いてもらったものです。いかにもそれらしくて何よりでした。新しい道具に嬉々として飛びつくのは俗人のたしなみということで、僕も少し前から導入して遊ばせてもらっています。

 はっきり言って面白い。その気になれば無限に遊べますね。

 しかし卒業式はともかく、日本では一般的に3月に入学式は行われないんだ。もっともらしい文体で堂々と書かれると間違いに気づきにくいんだ。でも彼は嘘つきというわけではなく、ただ過去に同じような状況で使われた単語と文章を参照先から重みづけして結びつけているだけなんだ。AIのいわゆる自然言語処理とはそういうものなんだ。もちろんデータの蓄積に従い、すぐにもっと適切な受け答えをするように学習していくのでしょうけど。

 人間を超えた「知性体」ですからね。悔しいだろうが仕方ないんだ。


 何はともあれ、今まさに様々な分野で驚異的に発達中のAI。いずれはサイトの構築や更新もAIがやってくれるようになるのでしょう。SNS等でも勝手にその人らしく自動更新してくれるサービスが出てくるのでしょう。不特定多数を相手とするテキスト主体のコミュニケーションを無難に行うためには感情的にならないのが肝要で、そのためには各人が自分専用のAI秘書に代行させるのが一番いい。早くその段階が来ればいいのですが――。

 もちろんリリースすることで自分たちの商売のタネを潰すことにもなりかねないので、どの企業がどんな形で出すのかは興味深いところです。


 それにしても、レイ・カーツワイル界隈の言説は一種のSF小説として楽しんでいましたが(グレッグ・イーガン系のエンタメです)、シンギュラリティは始まってますね。技術的特異点とはいっても、それは一目では見渡せない巨大な「点」で、僕らはもう内側に含まれている。俯瞰すれば今、大転換に立ち合っているんです。

 そしてそれは今後も植物の成長のようにナチュラルに、しかし圧倒的な速度で進行していくのでしょう。世界の変容とは往々にして、さりげなく進むもの。人間が生み出した技術が自動的に人間の在り方を変えていき、気づけば異質な社会が広がっているんです。現在のスマホのように老若男女、誰もが当たり前のようにAIを使いこなす未来が来るのには、あと数年もかからないだろうなと予想している似鳥航一なのでした。さて、いかがお過ごしでしょうか?(機械的な話題の転換)


 やや更新の間が空いてしまいましたが、今年はスギの攻撃量がおびただしく、なかなか写真を撮りに出かける気分になれなかったんですよね。

 多分に洩れずの花粉症です。とくに今年は2月から強烈なアタックの日が何度かあって本当にまいりました。

 微熱の時のような独特の倦怠感、ぼうっとする意識、そして目と鼻がとんでもないことになり…。(見苦しい描写になるので詳細は割愛)

 鼻をかみすぎた次の日、鏡で鼻の頭が真っ赤になった顔を見たときほど情けない気分になることは、あまりない。

 ともあれ今はだいぶ落ち着き、とくに雨の日は花粉も少なく快適に過ごせています。春の雨はいいですね。静かに降る雨にまぎれて散りゆく桜の花びらを、これといった意味もなく、ぼうっと眺める――。

 そんな時間は、より意味のないタスクに忙殺されがちな現代人にとって、最高の贅沢のひとつと言えるでしょう。


下町和菓子栗丸堂7巻のお知らせ


 今のところ順調に進んでいます。

 いらっしゃいませ下町和菓子栗丸堂の7巻は、5月刊行の予定です。

 泣いても笑ってもすべてに決着がつく最終巻――お楽しみに。

 また、少し前に編集部から栗丸堂関連のファンレターを転送して頂きました。

 皆様ありがとうございます。どれも大切に読ませて頂いています。

 返事は少しずつお送りしますので、できれば気長にお待ちください。


中野伝説


 先日、中野に行く用事があったので、前から興味があった中野坂上の成願寺に寄ってきました。

 成願寺はその昔、「中野長者」と呼ばれた人――鈴木九郎さんが作ったお寺です。

 鈴木九郎は商売で成功して大変な財をなした人。しかし幼くして病死した娘のために僧となり、邸宅を寺院に作りかえたのだと成願寺の公式サイト等に書かれています。

 ただ、この鈴木九郎という人、色々と怪しげな言い伝えがあって面白い。

 いわゆる「中野長者伝説」というものです。

 これは前半と後半の二部構成になっていて――


 ●前半:鈴木九郎は神仏の加護により、中野長者と呼ばれる大金持ちになる。

 ●後半:金に目がくらんだ九郎は次第に人殺しに手を染めるようになる。その罰があたって娘が蛇の姿に変わってしまい、なんとか人の姿に戻すも最終的には死んでしまう。九郎は自分の家をお寺に作りかえて、僧として娘を弔って余生を過ごす。


中野長者伝説を御存じですか?


 今は昔、応永の頃(1394~1427)、紀州熊野から鈴木九郎という若者が中野にやってきました。九郎はある日、総州葛西に馬を売りにいきましたところ、高値で売れました。信心深い九郎は仏様の功徳と感謝して、得たお金はすべて浅草観音に奉納しました。
 さて、中野の家に帰ってみたところ、我があばら家は黄金に満ちていたのです。観音様のごほうびでした。それから九郎の運は向き、やがて「中野長者」と呼ばれるお金持ちになりました。その後、故郷の熊野神社を移して熊野十二社を建てたり、信心深い生活は続いていました。ところが、あふれる金銀財宝が屋敷に置ききれなくなった頃、九郎に邪念が生じたのです。
 金銀財宝を隠そうと人を使って運ばせて、帰りにその人を亡き者にするという悪業を働きはじめたのです。村人たちは、「淀橋」を渡って出掛けるけれど、帰りはいつも長者一人だということから、いつしかこの橋を「姿見ず橋」と呼ぶようになりました。
 しかし、悪が栄えるためしなし、やがて九郎に罰があたります。九郎の美しい一人娘が婚礼の夜、暴風雨とともに蛇に化身して熊野十二社の池に飛び込んでしまったのです。九郎は相州最乗寺から高僧を呼び、祈りを捧げました。すると暴風雨はおさまり、池から蛇が姿を現し、たちまち娘に戻りましたが、にわかに湧いた紫の雲に乗って天に昇っていってしまったのです。以来、娘の姿は二度とこの世に現れることはなくなったのです。
 九郎は嘆き悲しみ、深く反省して僧になりました。そして、自分の屋敷に正歓寺を建て、また、七つの塔を建てて、娘の菩提を弔い、再び、つましく、信心深い生活に戻りました。


引用:中野区公式ホームページ
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/102500/d020156.html


 上記の引用文の中で、『財宝を隠そうと人を使って運ばせて、帰りにその人を亡き者にする。「淀橋」を渡って出掛けるけれど、帰りはいつも長者一人』というところ――。

 この淀橋が、よく耳にする地名のおおもとです。ヨドバシカメラや淀橋市場の「よどばし」ですね。

 じつは昭和の頃には淀橋区という区もあったらしい。淀橋区と四谷区と牛込区が統合されて新宿区になったのだとか。東京出身の人なら常識だったりするのでしょうか。

 とりあえず成願寺から淀橋に向かい、神田川沿いをぶらぶら歩いていきます。

 すぐに着きます。ここが淀橋。

 見ての通り、今はいたって普通の橋ですが――とはいえ、江戸時代には既にそれなりに有名だったようですよ。一部の界隈では有名な「江戸名所図会」などにも描かれているそうです。

 看板に橋の名前の由来が書いていたので載せておきます。

「景色が淀川を思い出させるので淀橋」とのこと。

 ……強引!

 

 何はともあれ、少し東京に詳しくなれた気がした、春の曇天の昼下がりでした。


電気羊は笑わない


 AIは笑いというものを理解できるのだろうか?

 ふと、そんな疑問が湧いたので軽く調べてみました。

 以下は僕のリクエストに応えてAIが書いてくれた架空のコントの一例です。


[舞台:ジャングル]


チャニング・テイタム:(ジャングルで歩き回りながら)ああ、こんなに美しい場所。でも、私はここで一人ではないようだね。

(猫が現れる)

猫:ニャー。

チャニング・テイタム:(驚いて)猫!?ここで何をしているんだい?

猫:私はこのジャングルに住んでいるんだ。あなたは誰?

チャニング・テイタム:私はチャニング・テイタムだ。有名な俳優だよ。


猫:(うんざりして)ああ、またか。人間はいつも自分が有名だと言うんだ。でも、それは私にとってどうでもいいことだ。


チャニング・テイタム:(微笑みながら)すみません。でも、あなたは本当にかわいいね。


猫:(優越感を持って)そうね。私はかわいいし、賢いし、独立心があるんだ。


チャニング・テイタム:(にっこり笑って)それは素晴らしいね。でも、あなたはこのジャングルで一人で暮らすのが好きなの?


猫:(満足そうに)はい、私は自由が好きなの。だから、このジャングルで暮らすことを選んだんだ。


(急にゴリラが現れる)


ゴリラ:ウホォォォ!


チャニング・テイタム:(ぎょっとして)ああ、巨大なゴリラ!?


猫:(平然と)ああ、彼はグレッグ。ジャングルで一番の親友なの。


ゴリラ:ウホォォォ!(チャニング・テイタムに向かって迫る)


チャニング・テイタム:(恐怖に震えながら)助けてくれ、猫!


猫:(落ち着いて)大丈夫だよ。グレッグは怖がらせるつもりはないんだ。彼はただ遊びたかっただけなの。


(ゴリラがチャニング・テイタムを遊び心たっぷりにつかまえ、彼を空中に持ち上げる)


チャニング・テイタム:(叫びながら)助けてくれー!


猫:(笑


 AIは笑いというものを理解できるのだろうか?

 ……調べてみましたが、よくわかりませんでした。

 いかがでしたか?


にとりの愉快な小部屋  -似鳥航一ブログ-

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