忍者の話
こんにちは、似鳥航一です。
気づけば今年も12月半ば。早いな…といつも言っている気がします。
ただ、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で様々なことを自粛した事情もあり、個人的には例年以上にあっという間に過ぎてしまった感があります。人は自ら動いていないと時間の動きに置いていかれてしまうのだった。…なんて大層な話ではなく、単に新しい諸々の手法への対応に時間を取られ、効率を求める非効率について考えさせられたり、そこから逃避するために別なことに着手して気づけば大幅に時間が経っていたりと、あるあるすぎる話。ともかく体感的にはとても短かった過渡期の一年でした。
来年2021年の夏には、延期していた東京オリンピック2020が開催されるということに現状なっています。膨大な支出金や選手たちのことを考えると今更やめられないでしょうからね。
アプリで確認したところ、今日の国内の感染者数は2387人、回復者数は1051人(データ提供:JX通信社/FASTALERT)…医療従事者の方々の働きには本当に頭が下がります。その優秀さと献身性があらわになるほど、大きな想定の中に織り込み済みで物事は進んでいくのでしょうか…。
果たして我々はどんな未来へ向かっているのか。多くの人にとっていい年になるといいのですが、本当に。
重版のお知らせ
先日、「いらっしゃいませ 下町和菓子栗丸堂」の1巻にまた重版がかかった旨の連絡を頂きました。
いつも応援ありがとうございます。より面白くしていくことで返礼したいと思っています。
3巻は来年の春の予定(今のところ)。1、2巻で仕込んだ種を使ってシリーズの全体像を提示するので、どうぞお楽しみに。
また、先日重版した「この終末、ぼくらは100日だけの恋をする」の見本誌を送って頂きました。
3年前に出した終末ラブストーリー。存在しない場所が舞台になっている話です。
一人称小説は語り手が小説内の人物なので、必ずしも本当に起きた出来事を綴る必要はなく、じつはすべてが妄言かもしれないという姿勢でも読めるのが良いところ。この終末~の語り手は一体どんな人なのだろうか。
忍者の話
以下はとくに脈絡なく雑談。
最近、知人に「滋賀県に製薬会社が多いのはもともと忍者の里があったからだよ」だと言われて、最初意味がわからなかった。で、後で色々調べて面白い話だったことを知りました。
きっと僕以外にも知らない人はいるでしょう。(いない? 嘘だ…)
というわけで簡単に書いておきますと…
忍者の本拠と言えば伊賀と甲賀で、それは現在の三重県と滋賀県。地図を表示すると、三重県伊賀市と滋賀県甲賀市って隣接してるんですよね。
伊賀忍者は火術が得意。そして甲賀忍者は特に薬を使った術に長けていて(有名な万金丹も、もともとは甲賀で作られた)、だから今でも滋賀県には製薬会社が多いのだということでした。
土地に根ざした、理由のある伝統なのですね。
なんでも古代から蒲生野(滋賀県蒲生郡あたり)などは薬草の産地だったらしい。それこそ飛鳥、奈良時代から…。
また、同じく滋賀県の伊吹山は、平安の昔から国内有数の薬草の自生地。戦国時代には織田信長も薬草園を開き、ポルトガルの宣教師に大量の薬草を栽培させたのだとか。相当、資源が豊富だったようです。
資源が豊富なら、用途も多岐にわたるでしょう。
薬は毒の裏返しでもあるので、かつてのその地域近辺では毒殺事件なども結構あったんじゃないだろうか。幻覚作用のある植物を効果的に使えば催眠暗示に似たものもかけられるでしょうし、自殺に見せかけることもできる…みたいな、怪奇趣味の推理小説的な出来事もあったのかもしれないという妄想が膨らみます。
また、滋賀県から少し離れて、富山県に「富山の薬売り」という有名な薬の行商人の話がありますよね。今でいう置き薬のサブスクです。じつは彼らも忍者のような仕事を兼任していたという説があるらしい。
始まったのは戦国時代で、薬を売る行商をしつつ諸国の情報をさりげなく集めると考えれば、あながち的外れでもないでしょう。スパイが他国に潜入する際、最も無難な変わり身の対象はプロの旅人――実際に遍歴して暮らす商人や僧侶や芸人の一座になりきること。隠れるより堂々としている方がずっと活動しやすいですからね。
というわけで昔々、近江を中心に薬の売買をカモフラージュに諜報活動を行った、広範囲にわたる忍の組織があったのかもしれない。想像するとほら、製薬会社の白い社屋が古代のロマンを帯びて見えてくる…(が、たぶん気のせいでしょう)。
僕は以前京都に住んでいて、京都と滋賀県はお隣。すごく近いんですよ。じつはあの人は忍者の子孫だったのかもな…なんて思いながらキーボードを打っていると、あやしうこそものぐるほしけれ、です。
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