紙を買うと電子がもらえるキャンペーン&重版&baba is you

 季節の変わり目、次第に肌寒くなってきました。長袖は好きでも厚着は苦手な似鳥航一です。

 今年はほとんど遠出してないので、更新頻度も下がり気味のこのブログ。本当は感染拡大防止に気を遣いつつも、あちこち旅行などして経済に貢献しないといけないんですけどね。来年何としてもオリンピックを開催するために現在、国が旗を振ってキャペーン中ですし。


 とはいえ世の中、様々な考え方の人がいるので、多人数での遠出は折り合いをつけるのがなかなか難しいところ。ここはやはり一人旅を敢行するしかないのでしょうか。冬の淋しい一人旅は――楽しそうですけど。


 子供の頃を思い出します。冬の放課後、遠くへ続く雪道をひとりで延々と移動していた時、暇にあかせて頭の中に自作のMADムービー的なものを色々と流していた――思えばあの手の現実逃避の数々が今の自分を育む素養になったのかもしれません。全然違うかもしれません。

 ただ、そういった見方によっては孤独な思い出が心地いい安らぎとして自分の中に残っているのは、おそらく幸いなことなのでしょう。

 しかし、MADというのもつくづく懐かしい響きになりました。今は2020年…か。


紙を買うと電子がもらえるキャンペーン&重版


 少し前、「いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂」の1巻にまた重版がかかったそうで、見本誌を頂きました。

 また、3年前に出した「この終末、ぼくらは100日だけの恋をする」にも最近再び重版がかかったとのこと。終末という言葉が、ややもすると牧歌的な響きを帯びて聞こえるようになってしまったコロナ禍状況の今でも読まれていることが嬉しく、感慨深いです。いつも興味を持ってくださる読者の皆様に、重ね重ねお礼申し上げます。

 さて、先日見本が届いた栗丸堂――

 帯に「紙を買うと電子がもらえる」と書いてます。

 電子とは電気のもとで、陽子と中性子から成る原子核の周りを飛び回っているもの…

 ではなく、これは電子書籍のことです。

 文字通り、紙の本を買うと、それと同じ電子書籍のデータも入手できるのですね。


 このキャンペーンの実施期間は2020年10月29日(木)~ 2021年1月10日(日)

 以下が入手方法です。


(1)書店で「紙を買うと電子がもらえる」の帯がついている紙の本を買います。

(2)購入した際のレシートを、スマホのKADOKAWAアプリで投稿します。

(3)すると購入した紙の本と同じ電子書籍のBOOK☆WALKERのギフトコードがダウンロードできます。(BOOK☆WALKERで読めます)


 紙の本と電子書籍の両方が欲しい方は、ぜひ一度お試しくださいな。


is you baba?


 ここからは気ままな雑談。

 最近遅ればせながら、上記のコンテンツに強い感銘を受け、毎日触っています。

 似鳥の中の人はもともとゲーム開発者なので、大作タイトルはあまり興味がなくても軽く触って基本的な仕様を把握するように努めているのですが、インディーゲームまではなかなか手が回らないのが現実。今の世の中には面白いコンテンツが増えすぎて(主にYouTube関係)、時間がいくらあっても足りない。スマホアプリ系は結構こまめにチェックしてるんですけどね…。

 これはフィンランドの開発者アルヴィ・ティカリさんが作成したインディゲームで、「baba is you」。

 babaという四つ足の白い生き物があなたの操作する当面のプレイヤーキャラクターです、くらいの意味です。

 当面? その意味は後ほど…。

 baba is youはスマホアプリではありません。PCのsteamなどのプラットフォームでプレイできます。

 いわゆるガワ替えの量産商品ではなく、斬新な発想から作られたパズルゲームで、ゲームデザインが非常にエレガントで美しい。

 ゲームデザインとは遊び自体の仕組みのこと。エレガントはプログラマがよく使う表現ですが、プレイすると遊んだ方の多くがそう言いたくなるはず。それくらい無駄がなくて自由度が高い。

 無駄がないのに自由ってどういうことだ…?

 それはプレイ中にルールを変えられることから生じます。ルール=画面内のオブジェクトの持つ意味が変わることで自由度が拡張される。要素自体は少ないのですが、要素の組み合わせで世界の中に全く別な意味が作動するのです。

 誤解を恐れずにあえてドラクエに喩えると「勇者が仲間と魔王を倒す」という勝利条件を「魔王の仲間が勇者を倒す」や「勇者と魔王が仲間を倒す」などにプレイ中どんどん自由に切り替えていける感じ。(いずれそんなRPGパズルがどこかで作られそうですが)

 そう、これはいわば「パズルのルールを変えるパズルをしながら解いていくパズルゲーム」なのですね。


●Baba Is You - release date trailer

●公式サイト(※海外のサイトです)

https://hempuli.com/baba/


 発想力が問われるゲームなので、一見簡単なステージが何時間かかっても解けなかったり、逆に難解そうなステージがすぐに解けたりと、人によって様々な結果が出るでしょう。

 解法を閃いたときは気持ちいいですよ。

 操作感は無機質で、ウェットな部分は全然ないのに、くすっと笑ってしまうことが多く、また、「そんなこともできるのか…!」と感動することも多々あります。ドライな抽象の中に無限の感情。考え、想像することが好きな人には堪らないかと。

 ゲーム性で楽しむタイプのゲームなので、作業を楽しむ系のガワ替えゲームに飽きたときに触ると、一服の心の清涼剤になるでしょう。調子よく解けている間は快感でやめられなくなり、行き詰まるとイライラが止まらなくなるでしょう。笑

 エンタメ分野で面白いコンテンツに興味がある方は、一度触ってみると刺激が得られるんじゃないでしょうか。

 話は変わりますが、昔、個人的にファンだったインディーゲームの制作者がいて、独創的かつ挑戦的なゲームを多々作り、ウェブ上で発表していました。おそらくあまり有名ではないけれど、絵も音楽もプログラムで完全に一人で作っていた。その人の感性がリソースとシステムのあらゆる部分に浸透していて、当時は好きでしたね。

 baba is youの件で、そんなことがあったなぁと唐突に思い出し、深い意味もなく検索してみたところ――なんと今でもちゃんと活動していて、驚くと同時に、いわく言いがたい嬉しさを感じました。しかもsteamにも登録して完成度の高い作品を販売していた。

 なんだろう。まるで忘れ去った花壇に、かつて存在した綺麗な花が今でも咲いていたのを知った時のような、そんな感覚。

 こういったささやかな驚きと喜びが時折訪れることで、得てして味気ないこの日常は、生きるに値する不思議さを宿すものとして成立しているのでしょう。(大げさ)

 皆さんにとってそれは何ですか?





なんとなく今日のBGM(歌詞が可愛くて楽しい)

にとりの愉快な小部屋  -似鳥航一ブログ-

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